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[コメント] 千年女優(2002/日)

通して5回以上は観ました。だけど理解できなかった。”頭で考えるのではなく、心で感じろ!”と言う作品なのだろうか?訳のわからないな作品に腹が立って、それを理解できない自分に苛立った。
さいた

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







理解できそうで理解不能な作品なので煮え切らないのです。それで理解しようと何回も観てしまう。もはや創り手の策略に嵌ってるのかもしれません。そこで自分を納得させるためにも、ひとつの仮定を導き出してみました。

このドラマは、”あの人に会いに行く”事から物語が始まり、それが女優になるきっかけでもあります。しかしそれは少女的な感覚であり、女優を長年続けながら捜し求めるものにしては弱いと思われます。そこで少女的感覚から、自分のアイデンティティーを探す旅へと転換していく事になります。

千代子は子供の頃から少女雑誌に写る女性に憧れていました。もしかすると雑誌のモデル同様に、煌びやかな世界で活躍する女優にも憧れていたのかもしれません。その憧れをアイデンティティーの糧として演技に陶酔していったのです。現実の自分ではありえない自分を映画の中で演じることが彼女にとっては大切なことなのです。これは現在のヒロインである老婆千代子が、銀幕姿の自分の話をすると周りが見えなくなるほど夢中になる事からも明らかであります。

そこで「あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」と言う台詞の意味が重要になってきます。これを勝手ながら解釈すると「あの人を追いかける少女の頃の自分が忘れられないほど好き」と言う意味合いだと判断させていただきました。銀幕に焼き付けたヒロインは若いままの姿を残します。若さを失ったヒロイン千代子が映画界から姿を消しても、銀幕の中では若い頃の自分は永遠なのです。「彼を追いかける」=「永遠の若き姿」なのかもしれません。それこそが少女千代子が憧れていた耽美な女性なのです。ですから女優千代子は年老いた姿をフイルムに残したくなくて引退したのでしょう。

とりあえず以上のように仮定してみましたが、観る人によって、もっと色々な解釈が出来るでしょうね。とにかく終始、ナルシスト的な妄想ヒロインに同調できなかった。千代子を理解し同調しているのは社長立花だけ。せめて立花の気持ちを理解できれば千代子にも感情移入できたかもしれません。とにかく女優になった動機が薄いのですよ。女優として目指し求めていたものも伝わってきません。千代子が銀幕のヒロインに魅せられた過程も描かれてないので、突発的に女優にのめり込んだようにも思えます。全てが老婆の千代子の回想なので致し方ないのですが、妄想シーンを連続で描く前に現実的な感情の流れを描いていれば、もっと感情移入がしやすい作品になったはずです。妄想で綴たれた作品には、見る側も妄想で補わなければならないのかもしれませんね。

(評価:★3)

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