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[コメント] 28日後...(2002/オランダ=英=米)

無人の世界の詩情とゾンビものの両立。独自性は前者にあって、後者にはほとんどアイデアがないのに、その割りに重きを置きすぎでは? 
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジョーズ』や『エイリアン』は、もう「出くわしたらおしまい」という怖さがあるし、『ゾンビ』は、最初は「鼻の先であしらえる」というアドバンテージを握っていても、だんだんだんだん数でおされていくという怖さがある。それらとくらべて、本作のモンスターは、それまで親しい人が一瞬にしてモンスターになるというところだけは魅力的だが、なってしまった後がふつうのゾンビである。監督たちはこのゾンビが「どう怖いのか」を突き詰めて考えて観客を楽しませようとかしていないと思う。それにしては、いささかゾンビを活躍させすぎのように思う。

だから、この映画の感染者の真の恐ろしさのほどがわからないうちはいい。観客は「とにかく出くわしたら怖いんだ」という符丁で、無人の街の冒険をドキドキしてくれるから。でも、当然話が進み何度か手合わせをしていくうちに、その実態を明らかにしていかなければならない。…でだんだん面白さがなくなっていくのだ。

無人の世界の冒険を描きたいという動機が、それの引き立て役でしかないゾンビへの愛着のなさを生み、ゾンビってこういうもんだといういい加減さから、何となくそうしてしまったような、ただ「襲ってくるというだけの仕掛け」扱いにしてしまっている。『ゾンビ』や『バイオハザード』のようなモンスター・ハンティングの面白さは、あからさまに追求していない(病人だから?)、それなのにアクションをやっているという終盤のどうでもよさ。感染者は化け物ではないし、死人の蘇りでもない、さっきまであなたの愛していた人なのですよ、超人ではないのです、ということこそ独自性のカギだったのなら、相手を倒す時絶対返り血を浴びてはいけない、とか、何かのきっかけで正気を取り戻すことがあるから迂闊に殺せないとか、相対的に「相手をてごわい存在」にすればよかったのに。そうじゃなきゃずっと最後まであてどのない世界の終わりを歩いていればよかったのにと思う。

(評価:★3)

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