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[コメント] 28日後...(2002/オランダ=英=米)

王道的なようで、王道じゃないストーリー。
JKF

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







目が覚めたら誰もいない。歩いてたらゾンビに襲いかかられる。見知らぬ人に助けられる。絶望的な状況の中、最後の望みをかけて危険を冒し、特定の地を目指す。ここまでの話はあくまで王道的。異常な状況下で生まれる友情があり、ちょっと緊張がほぐれた時の笑いがあり、オヤジさんもイイ味出してるし、完成度の高いロード・ムービーの香りを漂わせている。このまんま最後まで突っ走っても、ちょっと無難ではあるけれども、割とイイ映画だったかな、と思う。

でも、これはキレイゴトばっかりのヒューマンドラマに彩られたハリウッド映画のようにも、B級街道まっしぐらのスプラッタホラーにもならない。たぶんこれ、監督が違ってたら完全にホラーに染められるだろうし、もっとクライマックスの方で主要登場人物とゾンビを殺しにかかるだろうし、あくまで最後は兵士相手なんかじゃなくて、ゾンビと闘うんだろう。

ところがこれは、完全にホラーに染まることなく、話が進む。主人公たちは望みなき異常な状況下の中で大事な人を失い、偶然出会った人と生き延び、生き続けることに意味を見いだせなくなりかけた兵士のところに辿り着く。主人公たちの辿り着いた基地が兵士ばっかりだったので、「もしかしたら・・・」とも思ったのだが、まさかホントにその通りの展開になるとは思わなかった。

でも、前半と後半のどっちが面白かったかというと、迷わず前半なわけで。前半の果てしなく「逃げる、逃げる」な展開に緊迫感があって時間を感じないことに比べ、後半の狭い空間での小競り合いはどうしても話として魅力が足りない。まあ、黒人女もあそこにきて初めて弱さを見せるし、兵士は「このまま生き続けて何の意味がある」って感じだったのに女とヤレるでウハウハになって破綻してるし、女の子はラリっちゃったりで前半がなければ十分面白かったとは思うが。展開としては面白いと思うのに、映画的には何かが足りないと思ってしまう・・・。やっぱ脚本は難しいな。

エンディングは劇中、幾度となく使われた「HELLO」という単語を使い、希望を持たせていた普通のエンディングを断固支持。別エンディングから感じる絶望は、余りにもステレオタイプだし、本編中で主人公や弱音を吐く兵士から十分絶望を感じられたので必要なし。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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