[コメント] キッズ・リターン Kids Return(1996/日)
無限の可能性に包まれた若者が、フリーターの道を進み夢を追い続ける。そのようなプロパガンダが流行した時に作られたからこそ意義がある。
覚醒剤を注射した瞬間じみた冷たさに支配されている個々のエピソードによって、北野流の現実を示す。パズルのように噛みあった美しい人間関係といった世界観など、幼児にも見破られる戯言にすぎない。うんざりした中古の関係、腐れ縁こそ宝物である事をあえて諭さねばならなかった白痴時代が過去に構築された。細々と生き続ける呪縛は全体を蝕む。新品を手に入れた時の高揚感を過度に求める幼稚な人間は、現在でも私の周囲に存在する。そのような土壌があることによって、異常なネットゲームブームが終焉しないという見方だって出来るのではないか。
ラストの言葉は単体で咀嚼すべきでないと思う。棘つきの鞭で打たれ続けた客に対する飴という感想だ。
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