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[コメント] アイアン・ジャイアント(1999/米)

良かった。うまくハズした絵とまっすぐなストーリー。愛?正義?何言ってんの、ってヒトにもいいかもよ。
TM

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヒトは意識するしないにかかわらず、様々なものに縛られている。親、兄弟、家族、友人、周囲の人たち…、これまでの生き方、そしてお金や時間、能力や体力を含めておかれている現在の環境。生まれてから現在に至るまでのヒト、モノ、ココロ、カラダの全てがそのヒトの行動、考え方に多様な影響を与えている。誰かが言っていた、ヒトは生きている限り肉体に縛り付けられた囚人だと。しかし、そのような諸々の自由ならざるものに知らず知らず魂まで縛られてはいないだろうか。好き勝手するって話じゃない。ふだんの生活の中でそれぞれの大切なモノにかこつけて魂の解放を忘れてしまってはいないか。だからこそ、自分が何者かも分からなくなった鉄人に自分を重ね、ホーガースが繰り返し語りかける「なりたい自分になれるんだ、ジャイアント」って言葉は年齢、性別を越えてヒトの心に届くんだと思う。 この作品は、そのあたりの表現がくどくなく、少しハズした絵づくりはストレートなテーマを僕のようなひねくれ者にもさりげなく受け容れさせて共感できる。登場人物に対する距離感も細やかで、意外なほどよく計算されている。結局、鉄人が何処から来たのか、何者なのか明かされることはないけれど、それはあの変形した鉄人の異形を見るだけで十分だ。それ以上は、僕には必要ない。なりたい自分になれた鉄人にとっても、それはもはや意味のないことなのではないかな。

(評価:★4)

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