[コメント] 96時間(2008/仏)
本作における「アルバニア人」の存在は、男鹿半島におけるなまはげの存在と同じですな。「悪い子いねがー」と里に下りてきて、親の言うことを聞かない「悪い子」を山に連れて行っちゃうゾと脅すのがなまはげなら、アルバニア人は、有無を言わさず連れてっちゃうわけですが。さぞかしこの娘は、今後は父の言うことを一言一句聞き漏らすまいと心底思ったことでしょう。そこら辺が娘を持つ親父の心理をくすぐるのではないでしょうか。僕は子もないので想像ですが。
それまでは「シンドラーのリスト」とか「ロブ・ロイ」とか、文芸路線の俳優さんという印象の強かったリーアム・ニーソンが、50代半ばで出演した本作以降、本格的な「爺いアクション俳優」(?)の座を確立してくわけですが、本作はまだその意外性を売りにしてたと思います。娘の泊まっていた(誘拐された)フロアに侵入するのに、建物の外壁をつたって行くのですけど、いかにも覚束ない感じで、そんなことして大丈夫かニーソン?!感満載でした。
一方で、まな娘が拉致される現場に(電話越しに)遭遇する父親の、パニックになりそうな感情を押し殺し、元プロフェッショナル(CIAの特殊工作員)の冷静さで事態を先読みして対処せんとする場面。納得性もあり、見応えもあり、文芸俳優さんならではの味のある演技だったと思います。
その後は、肉弾アクションに滅法強く、射撃の腕が一流で、かつ敵の弾をよける技と運の双方を十二分に持つという、ハリウッド調アクション(正確にはリュック・ベッソン)の王道を行ってくれるので、安心して観られました。
「交渉不要」という状況を相手に力ずくで納得させるなんて場面も、この手の作品の見どころかと思いますが、ミルズ(ニーソン)のキャラクター造形にも効果的だったと思います。
強いて言や、高校2年生の娘を子どもだけでヨーロッパ旅行にやらせようとする母親(ファムケ・ヤンセン)、あり得ないほど甘過ぎです。でもこれも、「子に理解ある理想的な母親」を本人なりに懸命に努めようとしている人物像を、さすがのファムケ姐が過不足なく演じてたようにも思えます。やや姐よりスタンスでしょうか。
80/100(22/2/11オンデマV)
90/100(24/2/24BS12)
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