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[コメント] スイート・スイート・ビレッジ(1985/チェコスロバキア)

春の朝に見るような、民主的で友愛に満ちた優しい作品。うとうとしてくる。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ラストシーンは、早朝、二人揃って勤務先の運送会社へ徒歩で出勤するという、冒頭シーケンスの繰り返し。冒頭では、パヴェク(でぶっちょ)は左手に鞄を持っていて、右手に鞄を持って登場したオチク(のっぽ)が、パヴェクに倣って左手に持ち替える、というシチュエーションの挿入があった。ラストシーンでは、二人とも右手に鞄を提げて登場するので、おや?と思ってみていると、冒頭では、オチクがパヴェクの歩調に合わせるため?に、ピョコンと飛び跳ねて歩幅を調整しようとすると、パヴェクがオチクに「ヤギみたいに飛び跳ねるな」と注意する箇所で、ラストでは二人一緒にピョコンと飛び跳ねた。ああ、何事にもトロいオチクのペースに、パヴェクが合わせることにしたんだな、ということがわかる描写である。

 しかし、こういうわかりやすい描写を持ってこないと映画の結末が格好つかない、というところがこの映画の欠点ではないか。常に目が離せなくなるような、画面から発する強制力みたいなものに欠けるのである(そういう映画においては、とにかく映画が終わる、ということが最大の解放感なので、ここで終わりますというような敢えてするエンドマークは要らないのだ)。こういう一見ほのぼの・飄々系の作品こそ、その手の強制力が必要ではなかったか。だって、そうでもないと、(私の)集中力が続かないのである(言い掛かりである)! 次にいったい何が起こるのだろうというハラハラ緊張感を随所に感じたが、もっと全篇に満ち溢れていてもよかったと思う。きっと民主的で友愛に満ちた優しい作品ということなのだろう。

70/100(09/08/30見)

男たるもの鳩の首くらい一息に折れなければいけない、という価値観も描かれるが、私が言いたいこととはなんの関係もない。

(評価:★3)

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