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[コメント] ランボー(1982/米)

彼らはまだ『ランボー』を知らなかった。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前回観たのは、今から32年前。高校の文化祭で、講堂で観た。勝手に勘違いしていて、山の中に籠ったランボーが、2、3個中隊ぐらいを向こうに回して大死闘を繰り広げるお話みたいに記憶してた(←いい加減)。

 そしたら、州兵の先遣隊のロケット砲1発で、簡単に追い詰められてしまう。そこで死ななかったことが、ランボー最大の強靭さという描き方だった。その後も、映像の上での最大のスペクタクルは、ガソリンスタンドの炎上・大爆発。これ自体は、さすがに大迫力で楽しんだが、映画全体としては、思いのほか地味なものだった。

 今のありがちなアクション映画と違い、追求されるのはアクション性ではなく、物語のリアリティーだったということだと思う。アメリカの閉鎖的な田舎町という、今で言えばトランプ大統領のコアな支持者層なんじゃないかみたいな、諸問題の根源のようなところに、戦争で心に傷を負った元特殊部隊員が迷い込んだ。ただそれだけの単純な舞台設定から、不可避的に招かれた悲劇。そういうリアリティーが追求された映画だったのだと思う。

 とは言え、警察をコケにした男が、ただの変態サイコ野郎ではなく、元特殊部隊員だと分かった時点で、普通の警察官による追跡は、普通に中止されるべきだったのではないか。もちろん、ティールズ保安官(警察側の指揮官)がより理性的な男だったら、映画が成立しないという問題はある。

 彼らにも同情されるべき点があるかもしれない。僕らの間には、こうした映画を観ることによっても、特殊部隊員という人たちは凄い能力の持ち主だということが、なかば常識として定着している。そう、彼らはまだ、誰も『ランボー』を知らなかったのだ。

80/100(18/12/26再見)

(評価:★4)

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