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[コメント] エド・ゲイン(2000/米)

このような犯罪が実際に起きたという、その事実に戦慄する。
G31

エド・ゲイン、『サイコ』などの元ネタになった連続殺人犯として名前は聞いたことあったけど、どういう犯行だったか具体的には知らない。だからこの映画がどこまで事実を忠実に再現しているものなのかわからない。だが、犯罪者・ゲインから常に一定の距離を保った冷静な視点や、過度の猟奇趣味に走らない抑制された犯罪描写などから判断するに、かなり忠実度は高く、また解釈の部分があったとしても、現実の判決結果「犯行時の心神喪失が認められ無罪」を踏まえた上での、現時点でなされる一般的な解釈に基づいたものだろう、ということは想像がつく。

心理学の知識もないのにそんな“常識”に挑戦するつもりはない。が、母親の強い影響下にあったことは理解できるにしても、犯行時にまで死んだ母親の妄想が出てきて、ゲインに犯行方法を耳打ちする、という描写は少しやり過ぎなのではないか、という気がする。実際ゲインは犯行時のことは何も記憶してないと告白しているらしいが、この映画で描かれるように、撃ったあと家まで連れ帰ってベッドに縛り付け、死ぬまで放置していたという描写が事実だとすれば、その間ずーっと心神喪失であったとするのは無理があるように思うのである。10代、20代での殺人ならともかく、40、50になっての初犯に母親の幻影も糞もないだろう、という私の中での「常識」もこの考え方を後押しする。

この映画自体は、ゲインの犯罪に至る過程を描くことで、可哀想な心神喪失者ゲイン(ないし殺人者一般)の弁護目的に作られた物のような気がしないでもない。だが、もしこれがゲインの「心神喪失」状態に疑問を呈し、既存の裁判制度の欠陥を批判する狙いで作られたのだとすれば、私に関しては狙いは成功したといえる。他の人がどう感じたかは知らない。

個人的には、せめて映画の中だけでも、ゲインに天誅を下してほしかったと思う。

70/100(02/01/14見)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ナッシュ13[*]

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