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[コメント] 大悪党(1968/日)

ギョッとするような話なのだが、不思議に陰惨さがない。皆、頼もしく見える。ついニヤリとしてしまう。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 警察の官僚体質、自白偏重、現場捜査の不徹底という今に通じる盲点を突き、詰めは“一事不再理”。現代でも充分に成立する法審理ドラマだ、という側面が一つ。

 もう一つは、45年前の映画だが、登場人物の人情が今とだいぶ違う。むしろ情が薄い。信州から出てきた母は、娘の不品行をなじると、絶縁を言い渡して去って行く。娘の心情を慮って、立場をかばってやるなんてことは、まるでしない。最後に「達者でね」と言い残していくところに、わずかに人情が表れるが、圧倒的に不足だ。みのもんたが親だったら、絶対こんなことはしないだろう。

 それでもなぜか、“人間”に見える。“人間同士”に見える。キャラクターの設計や役者の演技に誇張や省略はあるだろうが、全体として、過不足がない。だから、映画になるのだ。

 残念ながら、今のオレオレ詐欺や、ストーカー殺人、無差別連続殺人といった犯罪が、映画になりそうな気は、あまりしない。

80/100(13/10/26)

(評価:★4)

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