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[コメント] 蝶の舌(1999/スペイン)

艶やかで絵画的な映像で綴られる「僕」が出会った大人の世界。
つゆしらず

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







問題なのは宣伝・広告・コピーの類。軽率で理解の足りない配給会社のために、ただのお涙頂戴映画として扱われてしまった。結末は残酷で悲しいが、悲しい映画ではない。子供が出会った大人の世界は、喜びだって沢山あふれていたのだ。

物語の中盤から後半へさしかかるあたりだったろうか。それまでは、「泣く」「笑う」など単純な表情しかしなかった少年だが、大人の単純ではない世界を知り、大人びた(こまっしゃくれた)複雑な表情をする。子供のように感情のまま「本音」をぶちまけることも大切だが、大人のように自分や家族を守るため「立前」も必要だということは判っていた。そういう表情や、表現の仕方も覚えたことがわかった瞬間だ。

最後の言葉は、先生が自分だけに教えてくれた言葉だ(少なくとも映画ではそう表現されている)。家族は守らなければいけない。だけど先生も信頼し尊敬している。せめて、先生にだけはそのことを伝えたい。そして少年は「立前」と「本音」を叫ぶ。先生と僕にだけわかる言葉で。

最後のとこはシンプルに「「先生の教えてくれたことは忘れてない」ことを伝えるために叫んだ」でいいんでないの?と思うんですが、どうにも大人は複雑すぎる。

(評価:★5)

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