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[コメント] 事故物件 恐い間取り(2020/日)

ドラマのあるホラーではなく、ホラーのあるドラマとして面白い。本気で怖がらせにはきていない、ライトに楽しめる作品。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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売れないお笑いコンビが解散し、ネタを書かない(書けない)ほうが、どんな仕事でも受けなきゃと、いわくつきの物件に住むというくだりは、実話がベースなだけに引き込まれる状況だ。とくに主人公たちの唯一のファンで、霊感の強いメイクの女の子に協力を求めるくだりがいい。彼女が霊感が強すぎて本当に恐ろしい目に会ってしまうと知りつつも、どうしても撮れ高をあげなければならないところまで追いつめられた主人公が、彼女にヤバイ物件を選んでもらおうと懇願するシーンでの、なんとか主人公を助けてあげたいと思う彼女のいじましさが感じられるところはドラマ的に共感できる。なかなか怪現象を登場させずに、そのあたりの導入の現実世界のドラマを丁寧に描いているところが良かった。

反面で現実の一線を超える「ホラー」部分が大して怖くない。というかそんなに怖く描こうとしていない。主人公がヤバイ物件に住むことで、主人公にそれをそそのかした周りの人間が次々と危険な目にあっていくという鉄板の展開なのに、その恐ろしい目が具体的に描かれるわけではないし、怖い目にあった後もせいぜい主人公に「やめたほうがいい」という程度に平常を保っている。主人公を追い詰める死神もゲームのキャラみたいで、最後の主人公たちとのバトルも、過剰なCG処理に彩られて怖さの逆をいくような感じだった。これは『リング』なんかとは狙いの違う、ライトに鑑賞できるホラーということなのだと思う。ほどほに怖くて楽しめる作品というニーズに応える作品ということなのだろう。

不動産取引の法律で、物件の瑕疵を明記する義務の中に「心理的瑕疵」というものもあり、それをわかった上で一度人が住んでしまえば、次からはそれを明記する必要がなくなるという禊的な便宜があるという豆知識が面白かった。ホラーの中でも「幽霊屋敷」ネタが日本以上に豊富な感じのする外国でのこういう制度はどうなのかちょっと気になる。どなたか詳しい方がいらっしゃったら教えてください。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)はしぼそがらす[*] IN4MATION[*]

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