最近はコミックの実写化でがっかりすることも少なくなったけど、これはがっかりどころか違和感ゼロ。これはこれでまぎれもなくゴールデンカムイ。勝因は「再現度」につきる。

ロケにしても、アイヌや陸軍の小道具にしても、原作同様本物にこだわったこと。北海道の森林の植生を丹念にスケッチして描かれたコミック、アニメと同じ雪山の風景がスクリーンに広がった時に本作の世界にぐっと引き込まれた。それとメジャーマイナーに拘らず見た目を最大限重視したことによるキャスティングのはまりっぷり。役者陣はただ演じるのではなく原作を良く読み込んでその人物になり切ろうとし、メイクも徹底的にコミック、アニメのキャラの再現に努めた成果が出ていると思う。このキャスティングが一人の破綻もなく隅々まで行き届いていたことが「原作の作品世界」のリアリティを与えたと思う。

アクの強い脇役よりも格段に難しい主演の山崎賢人 と山田杏奈も、激しいアクションと同時に、原作で唐突に挟み込まれるギャグシーンやグルメシーンでのほのぼのした雰囲気が出せていたのが素晴らしかった。ギャグシーンは物足りなさがあったが、実写でそのままやると映画が初見な観客にはさすがに違和感があるだろうから、いいバランスを保っていたと思う。

何よりゴールデンカムイはアクションものである。あまり邦画のアクションものは見ているほうではないが、ＣＧやワイヤーをうまく利用した誇張した絵作りと、本物の肉体演技にこだわった撮影と両者のいいところを取り込んでいると思う。正直こんなレベルの高いものを見ることができると思っていなかった。

間違いなく大ヒットだと思うので予算も増えるだろう続編での、小樽や旭川、網走や樺戸の気合の入りまくったセットで役者にのりのりで演じてもらう贅沢な映像をマジで楽しみにしている。