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[コメント] 最強のふたり(2011/仏)

この作品で感心するのは、障害者であっても必要以上に障害者として憐れみの目で見られるのは嫌で、対等に接してきて欲しいという自尊心や健常者と何ら変わらない思考やユーモアなどがさり気なく描かれている点。
わっこ

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事故で半身不随になった男と世話係の面接で出会ったスラム街出身の男の友情を描いたコメディドラマ。実話に基づいた作品となっている。

事故によって障害者となってしまった自分の身の上を憐れみの目で見られることに嫌気が差したフランソワと彼に対して障害者として意識することなく対等に扱ってくれるドリスがお互いに接しあう内に、自身に無かった価値観や趣味を受け入れながら友情を育み、自身の生活が変化していく様子を爽やかに描いている。

この作品で感心するのは、障害者であっても必要以上に障害者として憐れみの目で見られるのは嫌で、対等に接してきて欲しいという自尊心や健常者と何ら変わらない思考やユーモアなどがさり気なく描かれている点。

とかく障害者を扱った作品は障害者と健常者のギャップを悲観的に描いたり、障害者に対する世間の冷たい目を強調するものが多いが、この作品の障害者であるフランソワはドリスと普通に下ネタも言い合うし、ブラックな冗談にも付き合えるし、自身のプライドも高い。そんな姿があざといお涙頂戴的な演出を使わずにコミカルに描かれていることにはとても好感が持てた。

ただ、フランソワとドリスの家族関係を据えたドラマとしてみると、この作品はあまり彼らの家族の問題に触れられていないのが気になる。例えばフランソワには養子に迎えた年頃の娘がいるのだが、フランソワは彼女の問題にはほとんど関わってこないし、父親が養父で障害も抱えていることに対する娘の心情にも迫っていない。結構、重要そうな気がするのになぜか避けられている印象。ドリスにしても、素行の悪い弟の問題とか、関係がギクシャクしていた母親との和解とか、かなり省かれしまっている。

2人の友情や新たな価値観を持つ成長ぶりは上手く描かれているが、せっかく家族との間にエピソードを作っているのだから、もっと家族との問題も突き詰めて欲しかった。

(評価:★4)

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