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[コメント] ウエスタン(1969/米=伊)

ジル役クラウディア・カルディナーレは黒いドレスを身に纏い、清楚な美しさもさることながら、演技面でもマクベイン一家の亡骸を見つめる時の悲しみを必死に内隠すところなど表情演技は素直に伝わってくる。
わっこ

**ネタバレ注意**
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正統派西部劇映画。正直、上映時間2時間41分は男同士の対決を描いた西部劇にしては少々長い印象。

ストーリー的には、最初の展開からするとマクベイン一家に嫁ぐはずだった女性ジルが殺された家族の復讐のためにマクベイン一家を殺したフランクに戦いを挑む話かと思ったら、中盤からフランクを狙っていた男ハーモニカが話の中心人物となり、最後には兄を殺された復讐のためにハーモニカがフランクが対決する正統派西部劇の展開になってしまう。

別にハーモニカの対決は悪くないし、ハーモニカが話の中心人物になっても文句はないのだが、この映画でのハーモニカの存在意義は思ったより弱く、彼がフランクを敵に思っていたというエピソードを途中から盛り込まれても今ひとつ唐突な印象がする。最初から彼が主役の話ならいいのだが、それでは最初にジルを話の中心人物に持ってきたのはなぜなのかと言うことになりしっくりこない。

しかも、この映画ではエピソード的にも、キャラ的にもジルが活躍する方が面白いのに、そのジルの方は中盤以降は完全に脇役に追いやられてしまい、前半であれだけジルに出番を与えた意味がなくなってしまい拍子抜け。

ただ、それを差し引いても登場キャラはどれも魅力的で、役者の演技もなかなか素晴らしく、映画としては観ててなかなか楽しめる。

役者としてはジル役クラウディア・カルディナーレは黒いドレスを身に纏い、清楚な美しさもさることながら、演技面でもマクベイン一家の亡骸を見た時に悲しみを必死に内隠すところやハーモニカに気丈に振舞うところなど表情演技は素直に伝わってきて、正直、他の役者よりも存在感があった。フランク役ヘンリー・フォンダも珍しく冷酷な悪役を演じていて、印象度が増した。ハーモニカ役のブロンソンは前半こそはクラウディア・カルディナーレジェイソン・ロバーツにやや押されてしまったが、後半は存在感のあるところを見せていた。

総評としては、時代的なものもあるかも知れないが、ハーモニカが活躍するよりもジルを活躍させた方がもっと面白い話になったように思う。登場キャラの魅力的なのとクラウディアを初めとする役者の演技力がよかったので☆4つといったところ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] DSCH[*]

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