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[コメント] ユリョン(1999/韓国)

なるほど『沈黙の艦隊』を韓国でリメイクするとこうなるのか…。[Video]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







***以下、コミック『沈黙の艦隊』のネタバレあり***

『沈黙の艦隊』とは、米国の肝いりで極秘裡に建造された日本の原子力潜水艦が、自衛隊・米軍の命令に背いてその指揮を離れ、「やまと」と名乗った上で、艦長以下の乗員が「本艦は“独立国家”である」と世界に向け宣言する…というストーリーの漫画である。

「やまと」は核ミサイルを搭載しているという情報が各国に流れたため、ある国はパニックになり、ある国は「やまと」を危険な艦として撃沈しようとしたりするのだが、そもそもなぜ「やまと」がそのような宣言をするかというと、不動の領土を持つごく一般の国家と違い、潜水艦は自由に公海を航行でき、ある時は隠れたり、ある時は堂々と現れたりしながら、必要に応じて特定の場所(領土)へミサイルを射つことができる。この可動性とミサイルを抑止力として世界平和を実現しようというのがその真意だった。

さて話を戻すと、他数名のコメンテータの方々も言及している通り、本作はその『沈黙の艦隊』に設定が酷似している。国家機密として作られた艦、しかも原潜、ミサイルの備えもあり、乗員は祖国の戸籍からは消された者ばかりといったところは、全て「やまと」と「ユリョン」に共通だ。

しかし、本作と『沈黙の艦隊』が絶対的に違うところがある。それは「目的」だ。「やまと」が世界平和のための存在を目指したのに対し、「ユリョン」の狂った副長は、あくまで艦を「韓国人の背負ってきた歴史を変える」ために使おうとした。それはそれで、ある意味立派な心掛けかも知れないが、「やまと」の世界を見据えた広汎な目的と比べると、どうしてもスケールの小ささというか、自国の国益だけにこだわる矮小さが露見してしまうのだ。

しかしそれでも、製作陣が(実際にこれが『沈黙の艦隊』のパクリなのかどうかは別として)このような内容にしたのは、副長の言葉に投影されている韓国人全体のある種の思いをどうしても表明したかったからなのだろう。嗚呼、韓国人の恨〈ハン〉の深さよ…。

(評価:★3)

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