コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 欲望のあいまいな対象(1977/仏=スペイン)

男と女の映画というよりも、女について言及する男の映画。クラブや列車のコンパートメントの中で女について男が語るときの綽綽とした余裕と自信が、女と対峙する当の局面に時制還りしたシーンでは微塵も漂ってこないという描き分けにこそブニュエルの男性観の真骨頂が宿る。
ジェリー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







女の像が二人によって描き分けられ、服装や絆創膏こそ同じものが与えられていても決して普通の一人格に合焦していかないのは、男の欲望の救いがたき多頭性、多方向性を映画進行のあらゆる局面にわたり常時表現したかったからで、男の色好みというものがある一人の女性への愛に落ち着くことはありえないというメッセージが圧倒的な説得力とともに画面から伝わってくる。観客は−男の観客は−、こうした表現の大胆さに驚きつつ、二人の女性を何恥らうこともなく目で賞味するわけで、私個人的にはキャロル・ブーケが女性の偽善性を、アンヘラ・モリーナが女性の多情性をよりよく引き出していると思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] さなぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。