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[コメント] ぼくセザール 10歳半 1m39cm(2003/仏)

ボンクラ映画のジレンマ。
たかやまひろふみ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ボンクラ映画とは大人になりきれない、あるいは大人になれないダメ人間の救済装置なわけですから、主人公は可能な限り鑑賞者である我々に近いダメ人間であるのが望ましく、その点では運動音痴で甘いものが好きなデブちんで、あやとりどころか取り柄の一つも持たない少年セザールは理想的なキャラクターと言えましょう。

一貫してショボい彼を語り手としているからこそ、映画後半のロンドン旅行(言葉の通じない異国で電車に乗ること、食べ物を買うこと、人を探すこと)が途方もない冒険として感じることが出来ます。時折挿入されるしょーもない妄想、嫌いな大人をFPSよろしくバッタバッタとやっつける辺りもすばらしい。

ただ問題は少年が最終的に勝利者になってしまうことです。彼へのシンクロ率が高ければ高い程、それまでの物語が心地良ければ良い程、「彼は彼であって我々ではない」というギャップを感じることになります。こうした問題を解消する理想のボンクラ映画を求めて、我々はまたしても映画館を或いはレンタルビデオ屋を彷徨うことになるのです。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)わっこ 山本美容室[*]

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