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[コメント] 清作の妻(1965/日)

「好きなものは好きだからしょうがない!」
たかやまひろふみ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







戦時下という状況や周囲の圧力に流されることなく、ただひたすらに愛を求める若尾文子。彼女を際立たせるために、村の人々は殊更に偏狭で無理解な俗物であることを強いられます。求愛の対象である田村高廣でさえ、「名誉」に目が曇り、(土壇場になるまで)彼女の切迫した想いを受け止める、視ることが出来ません。言わば「愛する二人vs世間」ではなく「愛する独りvs世間」という構図。

こうした語り方であるからこそ描けるものもあると思います。けれども個人的には「世間」側である村人を一方的な悪役とすることに抵抗を感じてしまうのです。彼等の中にも幾許かの理解者も存在する、あるいはやむにやまれぬ事情から抑圧する側に回ってしまう…斯様な扱いの方が好ましく思います。そうすることで物語は「苛烈さ」を失うかもしれませんが、代わりに「奥行き」とでも言うべきものを獲得するのではないでしょうか。

これ半分は本音ですが、もう半分は鑑賞中ずっと「お前も村人の一員だぞ」と糾弾されているように感じ、そのプレッシャーから逃れるために無理やり捻り出した屁理屈でもあります。だって、本当にものっそキツいんですもの…。

(評価:★3)

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