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[コメント] デッドマン・ウォーキング(1995/米)

3点映画だけど、クライマックスの演技合戦にプラス1点。
tomomi

前半かなり退屈だった。

だってどう見ても、死刑囚の彼はイヤな奴で、 ヘレンもそれをわかりながら気が進まずに彼の助けになる。

シスターという点も、 こういう言い方をしたら悪いけど、 抱かれたことも、抱いたこともない女、 しかも、自らその道を選んだ女に、 レイプとか、愛とか、殺しとかの本当の意味というか、 心というか、は、 他の誰よりもわかりえないことなんじゃないかと思った。 勿論、シスターじゃなければ理解者になれると言うわけではないが、 人間のどろどろした部分から遠ざかって生きている人間に、 神にもらったはずの動物的な本能を 神を信仰しながらも捨てている人間には、 死刑囚なんかを理解できるはずはないと。

これは死刑囚を庇っているわけではない。 特に、彼がしたことは許し難いことである。

だけれど、彼が殺人に至るまで、とか、 至ってから、とか、 彼なりに苦悩はあるはずで、そういったものが 普通の暮らしをしている人以上に理解できるわけがないと 思ってしまうのだ。・・・キレイゴトだけで生きている人間にはね。

人は誰しも凶器を心のどこかに持っていると思う。 そのせいで、少なからず他人を傷つけたり、 言い争ったりするものだと思うし、 また、それゆえに人間らしさを形成していくんだとも思う。

そういったものを遠ざける生き方をしている人には 人々(加害者及び被害者)の葛藤など、表面的にしかわからずに おろおろするだけなんじゃないか、 私のそんな感覚や先入観もいけないのかもしれないが、 そのせいでとてもとても冷めた目で見てしまって、 ヘレン訳のスーザンが熱演すればするほど 鼻にかかってしまい、見たことを少し後悔し始めた。

この時点でずっと2点または3点映画だと思っていた。

が、クライマックスにかけての展開の巧さは 素晴らしく、こんなにも本作から何歩も引き、 感情移入できずにいた私でさえ、 目が離せなくなり、泣きそうにさえなった所は評価したい。 それはひとえに、主演ふたりの演技合戦の賜物で、 そこにプラス1点足して4点の評価。

とても考えさせられ、また沢山の意見を交わしあいたい映画。

一人で見るより、何人かで見ることをオススメしたい作品です。

(評価:★4)

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