リチャード・ドナーが撮りあげたオリジナル版は、秀逸な脚本と演出に加え、スリリングなゴールドスミスのスコアが余韻を残し、すべてにおいてバランスが見事だった。さらにキャスティングもベストで、真摯なペックと繊細さが恐怖で一層引き立つレミックの名演が忘れられない作品に仕上げていた。

のに…本作は家政婦に扮するミア・ファーローこそ、さすがの貫禄で存在感を醸すものの、まず主演の二人がパッとしないどころか味方になりたく無い雰囲気。 父親役のシュレイバーは風貌が鈍そうなのにくわえ傲慢さが鼻につき、ヒロインのスタイルズも最初から母親らしさが感じられず、スタイルこそ良いもののアンパンみたいな平ら顔で、せっかくハリウッド作品を観ているのに雰囲気が出ない。

やはり父親には観客のシンパシーを得たくなる様な誠実さの漂う雰囲気が必要。母親役は繊細な美人か、もしくは、とことん現代風にアレンジして弱い父親と強い母親にしても良かった。 そーすると適役はヒュー・グラントとサンドラ・ブロックあたりか？。

演技派ポスルスウェイト、ガンポン、シューリスらが、がっちり脇を固めるものの、いかんせん工夫のない脚本とパッとしない主演の二人のせいで空回り。 キーパーソンのダミアン演じる子役（フィッツパトリック）もオリジナル版よりも可愛らしすぎてオカルト特有の不気味さが薄れ、やはりオリジナルのハーヴェイ君に軍配が。 ちなみに彼、タブロイド記者役で本作にカメオ出演しているそうな…。

関係ないけどハンカチ王子が6月6日生まれ。あの運の強さって実は…。