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[コメント] リトル・オデッサ(1994/米)

登場人物の言動すべてに意味がある。凍てついたリトル・オデッサの映像は胸に染みる。喪失感と痛みが心に余韻を残す秀作。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ティム・ロス演じる殺し屋がリアル。佇まいが怜悧。 彼を取り巻く理解しあえない父(マクシミリアン・シェル)の存在、 病に伏す愛する母(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の存在、 忘れられない恋人(モイラ・ケリーの存在、 無邪気な弟(エドワード・ファーロング)の存在。 それぞれが巧みにロスを中心に絡まりあい、彼に複雑な心情と影響を抱かせる。 そのロスの困惑する微細な心情描写が寒々とした映像と相俟って絶妙。 作品全体の憂いを帯びた温度の低いトーンを作り上げるのに見事に繋がっている。 むやみにピストルが多く登場し殺し合い何も意味が残らない作品が多いけれど この作品はピストルにも銃声にも一つ一つに意味のある珠玉の作品。 自分にとっては近年で最も心に残った悲劇作品です。 冬道を自転車で走る兄弟や、ファーロングが部屋に入って行くシーンなど カメラアングルは印象深くアーティスティックです。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ガブリエルアン・カットグラ[*]

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