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[コメント] NAGISA なぎさ(2000/日)

日本映画の漫画への敗北をよく現す映画。あまりに御粗末な時代考証には閉口。村上もとかの原作の良さを10%も出せなかった。
raymon

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作の漫画が好きなので、多少先入観を持った上で鑑賞。

まず昭和40年前後の時代設定にも関わらず、コンビニは出てくる、走ってる車はレガシィ、浜辺にはギャルがと、平成の産物がこれでもかと出てくるのには閉口。思わず確信犯かと疑ってしまう程手抜きな時代考証。これでは自ずと感情移入を拒否されてしまう。

それをザ・ピーナッツや加山雄三の名曲、浜辺でのゴーゴーパーティで補おうとしているが、どれも取って付けた印象。

中でも特に気になったシーンはなぎさの従兄弟のボーイフレンドの車、彼はアメ車に乗っていたが、これが見るからに鈍い色をしたポンコツ車。対して原作では光り輝く派手なアメ車が登場するが、その描写から主人公のアメリカへの憧憬、つまり豊かで幸福な暮らしへの憧れを感じ取る事が出来る。近しい過去を描くからこそ、小道具の考証が重要なのだが、制作費などの制約を差し引いてもあまりにみすぼらしい。

あの時代の持っていた「熱さ」、日本中が豊かさを一途に追い求めて時代感がまるで表現されていなかった。

避暑に来た少年との恋や裕福な同級生への反発などの描写も中途半端。原作はなぎさが初潮を迎えた夏の出来事を描いた物語であるが、あえて映画でそれを省いたことで大人に対しても子供に対しても中途半端な映画になってしまった。

と、大学生の分際でして当時を知る者では無いのですが、映画の出来に思わずがっかりしてしまいました。この映画をきっかけに原作を手にとる人が増えるのを期待しています。

(評価:★1)

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