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[コメント] リアリティ・バイツ(1994/米)

青年期におけるモラトリアムそのもの。
まゆ

見た当時はあまり現実味(というか実感)が無かったのだが、長い学生生活の後、やっと社会人となった私には、自分に何か問題を突きつけているようで、そして親のスネをとことんかじっている私の姿を見せ付けられているようで結構重い映画だったりする。

私の周りには高校→大学→大学院と進んだ友達が多い。そういう人たちの中には、正直自分の進むべき道を見つけてないからなんとなく・・・で今までやってきている人もいる。そういう人たちって、どこか心の中でいつまでも親の支援を当てにしているところがあるような気がする。だいたい大学院まで進ませてもらえる家庭って比較的恵まれた家庭だと思うんですけど。

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“社会が成熟し、豊かになったからこそ、青年期(または学生時代)が長くなり、人生の重大な決定をする前に、いろいろと考えたり、試したりすることができるのです。その結果、より良いアイデンティティの確立ができれば、それは良いことです”

エリクソンの言葉だが、それは社会レベルでなく家庭レベルでもすごく影響するんじゃないかな。案外高学歴の人でもそういうモラトリアム期が妙に長い人が結構いるような気がする。いざというときには学歴でなんとかなるって思いもあるだろうし。

一方で、低学歴層の若者達はもまた、フリーターやらなんやらで問題。彼らこそ先の見えない社会不安の中、本当に苦しんでいるんじゃないかな。その中でなんとか自分の道を見つけ出した人って本当に強い。仕事や家庭に対する姿勢もまじめだと感じることが多い。つまりは本気で守るべきものがあるかどうかとか、いろんな責任感が感じられる生活をしているかどうかってことかと思う。

とにかく、モラトリアム期に若者は悩む。そんなことは今に始まったことじゃないんだよね。ただその時期がどこまで許されるんだろうか・・・ってことはあるような気がする。この映画はまだ先は分からないけど許される範囲なんじゃないかな。そういう等身大の若者を描き出していると思う。それよりも、今の日本、30過ぎてもまだモラトリアム人間・・・ってのが結構多いような気がする。そっちのほうが問題だよねぇ。若者(っていえる年じゃない!?)のほうは、まだまだモラトリアム期でいたいけど、社会はもう待てないぞってような。この先どうなるんだろ。

(評価:★4)

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