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[コメント] 白鯨(1956/米)

ブラッドベリをねじ伏せたヒューストン。
ざいあす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







やっぱり映画は監督のもの。オープニングこそ、船乗り・エシュメルの独白スタイルで始まり、「11月の風がなんたら・・」とかモロにブラッドベリ節でうれしくなるが、次第にその内省的テイストは影をひそめて、歪んだ執念を「男のロマン」に強引に置き換えるようなダイナミズムを追求するスタイルに。

これはこれで面白かったです。昔見たときは特撮の古さも気にならなくてけっこう感動したし。

原作は知りませんが、ブラッドベリ好きの願望としては、鯨は「海」というより人智の及ばぬ「神」のダークサイドを体現したもので、その「神」との対峙で何が起こるかを描いて欲しかった。エイハブが死体となっても白鯨に絡まって共に波間を進むクライマックス(「ジョーズ」の原作も同じような味わいがあった)は、決して「復讐のロマン」の結実では無いはず。そのためにも、もう少し船員たちそれぞれのドラマや、雲や波、鳥などの「海の情景」となる画が欲しいところ。

オーソン・ウェルズの、神への畏敬・畏怖を説く説教も、ブラッドベリのスタイルが貫徹されれば大いに生きてきたのだが・・。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)tredair uyo[*]

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