[コメント] ビヨンド・ザ・マット(1999/米)
学生の頃、地元に新日本プロレスの興行がやってきて、なんだか異世界にトリップした記憶がある。いまでも憶えているのは、まだ売り出し中のハルク・ホーガン、そしてメイン・イベンターのブッチャー。外人しか憶えていない。広場の特設リングを降りて流血したブッチャーは客席に乱入。しばらくあたりを蹴散らしたのち、ベニヤのパネルのゲートをくぐってテントに戻っていった。遠巻きにブッチャーを追跡していって、あのテントの中はどーなってんだろーと興味津々だった。ブッチャーは旅から旅の興行で常にお約束の流血の毎日だったのだろう。額が流血クレーターに変形してまでも闘うのはなぜなのか?
あのテントの内側を垣間見せてくれて、答えを示してくれたのが「ビヨンド・ザ・マット」なのかもしれない。
私はプロレス・マニアではない。だから派手な「演出」が嫌いだ。場外乱闘やトップロープからの「自爆」、乱入や仲間割れによる「抗争劇」などウンザリする。強いて言えば昔いたダイナマイト・キッドとか、全盛期のスタン・ハンセンとか、「ひたすら容赦なく痛めつける」ストロングスタイルが好きだ。しかし、今ではド派手コスチュームやマイク・パフォーマンス、徒党を組んでの抗争などリング外でのファイトが全盛。「おまえはプロレスがわかってない」と言われるが、やはりどぎついイナタさについていけない。
しかし、この映画を見て少しはわかった気もする。これは観客の側にも責任があるというか・・。非日常の異空間を求めているのだろうが、見ている側も演じる側も病気だ。しかし、「健全な娯楽」と言えないところに麻薬のような魅力が潜んでいるのだろう。
故・ジャイアント馬場さんは、還暦でもリングに上がり「生涯現役」だった。プロレスラーに「引退」など無いに等しいのだ。かつての猪木の宿敵だったタイガー・ジェット・シンは、マイナー団体の地方興行でゴージャス・松野をセコンドに従えて暴れ回っているらしい。テリー・ファンクもまたどこかでリングに登るのだろう。
なんかプロレスってホロ苦い・・。
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