[コメント] まぼろし(2001/仏)
「夫婦愛」なんて生ぬるい言葉はナイフでズタズタにされていた。しかし、狂気を超えた先に愛があるのかとも思わせる不思議な映画。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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フランス映画まったく知らないので、てっきりミヒャエル・ハネケの新作なのかと思っちゃった。「8人の女たち」の監督だったのか。前作ではブラックな笑いはあったものの、緩めな演出だった印象。
これは一転して張り詰めたテンション。特に前半は予断を許さぬ展開とランプリングの剥き出しの老境(若い頃のイメージ焼きついてるだけに)が重なって痛々しいほどの緊張感。
彼女はインテリで自分のキャリアもあるのに、まるで人生の全てを夫に依存していたかのような喪失感はちょっとアンバランス。 そのくせ他の男と寝てしまうが上の空。 夫の幻を見つつも、死の真相を突き止めようとする虚実入り混じった危ういバランスの切迫感が凄い。
前作はオールドファッションな味わいだったが、今回はシャープな音楽、そぎ落とした簡潔なカットの積み重ね、そして底なしな心の喪失感と、まさしく現代そのもの。
ラストは非常に映画的なビジュアルの締めくくりだが、少しでも前向きな救いが欲しいと思ってしまうほど、逃げ場のない息苦しさだった。
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