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[コメント] 明日、君がいない(2006/豪)

誰にも言えない苦しさを表現している素晴らしい作品。若いひとには観て欲しい。☆3.8点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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作風は(作風もそうだけど何せ舞台が同じ「高校」だから)ガス=ヴァン=サント監督の『エレファント』('03)と酷似しているが、ドキュメンタリー風の登場人物たちへのモノクロの(架空?)インタビューを加える事で、見事に別の方向性を導き出している。タルリ監督と対面した際、サント自身が「ぼくの映画と似ている部分もあるが、似ていない部分が素晴らしい」と賞賛したそうだ。

この映画、残念ながらぼくの心を鷲掴みにするような衝撃はなかったが、それはこちらが年を喰って不感症になっているからだと思う。誰にも言えない悩み、どうしようもない閉塞感・焦燥感・孤立感、多くの若者が味わう痛みの筈だ。

最後、7人目の少女ケリーが床に崩れ落ちて叫ぶ。何度も絶叫するが、誰にも聞こえない、届かない。彼女を襲うのは、「誰にも言えない悩み」である以上の「誰にも伝わらない苦しみ」。あの耐え難い苦しさは経験したものにしか解らないかも知れない。…

ただ、自らも自殺未遂の苦しみから立ち直りそこからこの映画を創り出したというタルリ監督が、「この映画を観る事でぼくと同じように救われるひとがいてくれる事を望む」というような事を言っているが、「この映画を観る事」が苦しみの救済に繋がるのか、そのような力がこの映画にあるのかについてはぼくは疑問を持った。タルリ監督にとってはサイコセラピーになったのだろうけど…。

(蛇足) すまんX68turboさん、同じボードだろうけど、オレ斜め読みしかせんかった。…

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ロープブレーク ガリガリ博士[*]

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