コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 横道世之介(2012/日)

切ない、良い映画なのは認める。しかし余裕が無い時に視たら後半発狂したかも知れない(予想外に長かった)。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







予告編では散々言われていたが、横道世之介(高良健吾)はそんなに奇人変人では無い(キッパリ)。そこそこ良識もある善良な友人だ。まぁ現実を見ると確かに稀有な存在なのかも知れないが。変人と言うなら寧ろ彼の周囲の人間の方がアクが強い。そして現実にはポツポツ居そうな連中である。物語で一番の変人は恋人となるショウコちゃんであり、吉高由里子演じる彼女が許容外だったら発狂してたかも知れない。

映画が始まってすぐ「アレ、そんなに古い映画だったのか、そんなに観るの遅くなってたか」と思ったが、それは勘違い。2012年作だが、1980年代の描写が見事だった訳だ。それにしてもテイク幾つで撮ったのだろう?と思わせる見事なシーンが散見する。

本作を愈々観賞するに及んだのは、吉高が今年('24年)の大河ドラマの主役を演じているからもあるが(本作が大河俳優ばかりなのにも吃驚)、スマホの検索で本作を「ロマンス/スリラー」とジャンル分け(Googleさん)していたからである。「そうなの?」と吃驚して視てみたが、結論としてスリラーでは無いだろう。唯一確かに謎だったのは、最後世之介の母親(余 貴美子)からの手紙を受け取る時間軸。ショウコちゃんがすっかり真人間になっているので年単位の経過があったと判るのだが、世之介の母は3ヶ月前の出来事だと言う。世之介の事を思い出さない母親(堀内敬子)に「大学時代に付き合ってた人」と説明する位だから、二人は遥か昔に別の人生に別れてしまっていたのか。この辺りは原作を読めば明白なのだろうが、こんなに長い話なのに最後に解りにくくすんなよ、と思ってしまった。

自分の学生時代を思い出すに、世之介と大して変わらなかったと(本人は)思うのだが(だからこの映画の凄さが分からない)、現在の自分が世之介の様な善良さを持ち続けているかと言うと、そうで無い。嫌な連中に囲まれて耐え忍んだりやり返したりしている内に、すっかりすべき事を素直に出来ない人間になってしまった。そうか。…

世之介は旧い友人達に世之介であり続けていた事を知らせた訳だが、最後の頃の彼と話したかったよ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。