コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 沖縄スパイ戦史(2018/日)

波照間の惨劇はテレビドキュメンタリーで視て知っていた。日本国民の基礎知識とすべき、非常に見応えのある作品だ。☆4.2点。
死ぬまでシネマ

波照間では、本土からやってきた情報将校が、教員に化けて地域に溶け込むが、指令を受けた或る日から突如豹変する。彼の心中にあったものは国民・市民・島民への共感と責任感では全くなく、只管大日本帝国への忠誠だった。その人間に対する無責任に恐懼する。

     ◆     ◆     ◆

戦場となった地では、我々の知らない地獄が展開する。侵攻した軍隊による住民を巻き込んだ情報戦だ。それは、内地の隣組とは比べ物にならない住民同士の相互監視による、軋轢・怨恨・心の傷を生み出す。日本本土は空襲には晒されたが戦場とならなかった。沖縄はなった。満州も、朝鮮半島も、広大な中国大陸も戦場となった。

この映画を観なければ、シリアを、ユーゴスラビアを、そして朝鮮半島を理解する事は出来ない。

     ◆     ◆     ◆

2人の女性監督による渾身の一打は、2018年キネマ旬報ベストテン、文化映画部門で堂々の第1位となった。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。