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[コメント] 地球爆破作戦(1970/米)

ウォー・ゲーム』('83/米)は間違いなくこの作品の影響を受けているだろう。☆4.3点。(Review内に『地球へ…』('80/日)のネタバレあり)
死ぬまでシネマ

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<コロッサス>がソ連のスパコン<ガーディアン>と共通言語を構築する際に、簡単な数式から複雑な数式へと段階的にメッセージを送る、という方法を採る。これは人間の教育をコンピュータ的に表現したら、という事なのだろう。これが何だか幼稚に見えたりバカバカしく見えたりもする。でも大真面目な作風に押されて、実際こういうものかも知れない、と思わせる。

未知との遭遇』('77/米)での5音階も同様に、バカバカしさが荘厳さを引き出していた。こういう大真面目は、SFだけに尚更私は支持したい。何故なら、自分の人生やひとの生き死にを見て、結局そういう事かな、と思うからだ。『ウォーゲーム』ではそれが○×ゲームになる訳である。

キューバ危機('62)では、人間の誤解や過剰反応が世界を破滅の一歩手前まで追い詰めた。『博士の異常な愛情』('64年公開/英米)はそれを色濃く反映したが、その後大陸間弾道弾のシステム化が進み、『ウォー・ゲーム』が公開された頃にはヒューマンエラーだけでなく、そこに機械が介在する危険は大いに認識されていたと思う。本作はその先駆けでは無いだろうか。

     ◆     ◆     ◆

しかしもう一点、『銀河鉄道999』('79/日)や『地球へ…』('80/日)では機械化された管理世界は否定的に描かれていた。それらの破壊と解放が人類の救済とされた。しかし結局我々は自ら環境を汚染し続け、「2030年問題」を前に人類が一体となって解決する事が強く求められている。社会の機械化と管理体制もまさに予言された通りに進行して、反対する声は実際には少ない。『地球へ…』で地球元首となったキース=アニアンは「グランドマザー(コンピュータ)を失なった人類では地球は制御出来ない」と煩悶するが、最後は解放と破滅を選択する。

この作品は上記の作品群と同様に、笑えない。我々の喉元に突きつけられた刃である。(2021.03)

(評価:★4)

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