[コメント] カミュなんて知らない(2005/日)
「これは映画の話だから」とか「映画の中だけのことさ」というまやかしの一切を否定する映画。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
見終わって、このだらーーーんとしたストーリーをじっくり思い起こしてみると、タイトルが浮き出てきました。
そうか!
この映画で『カミュなんて知らない』と言っているのは、作中劇で最後老婆を殺害する、少しおかまっぽい彼しかいなんですよ。
そう、彼が『カミュなんて知らない』とはっきり言っている。
学生たちはあたかもカミュぐらいは読んでいる、というフリをしていますが、その内実に踏み込んだアクセントは全く見受けられないんですね。
そして、この映画を恐ろしいほど掌る映画、映画、映画。
冒頭の長回しにしても役者の雰囲気にしても、あらゆることが映画の素材として示されていますね。怖いほどでした。
教授が若い女性(黒木メイサ)にぞっこんになって、食事をした時に結婚していることを告白され、まるで『ベニスに死す』のアッシェンバッハのごとく落ちぶれてゆくシーンが最も解りやすいシーンですが、これ以外にもたくさんのリメイク(パクリ)がこの映画を支配しているような気がします。
映画っていうのは、存在そのものであって、文学でも写真でも舞台でもなんでもない。要するに映画なんですよーーー、ということを伝える映画だったのではないでしょうか?
音楽の使い方も実に素晴らしく、カメラの素人っぽさも狙ってやっている感じがあって、好感が持てる映画でした。
2009/12/30(自宅)
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