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[コメント] その木戸を通って(1993/日)

こんな作品があったなんて驚きですね。冒頭の山にかぶさる雨のシーンだけでも十分です。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







内容は山本周五郎の原作で、いかにも武家に携わる上級士官の物語です。

そういえば『椿三十郎』も原作(『日々平安』)は大人しく気の小さい武士のお話でしたよね。この映画をみて、ふと思い出してしまいました。

要するにサラリーマンのお話です。

組織社会に根差す者の苦悩から生まれる不思議なお話でした。

こんな作品が15年もの間お蔵入りしていたなんて驚きです。

しかも市川崑監督の作品でしょ。

信じられません。

市川崑監督は必ずしもテレビを否定していたわけではなくて、『木枯し紋次郎』とかたくさんのテレビドラマを手掛けていますよね。でもこの作品のように、映画館で見ても十分耐えうる映画というのはなかなかなくて、やはり映画監督としての美意識にほれぼれしてしまいますね。

ちょっと残念なのが浅野ゆう子さん。

少女役をやるには少し大人びていて、イメージに合っていなかったように感じます。

故人である市川崑監督を偲んでエピソードも披露されていましたが、晩年まで食欲旺盛だったことは黒澤明監督とも共通していますね。

大変参考になる映画でした。

2010/05/14 自宅

(評価:★4)

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