コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] チェ 28歳の革命(2008/米=仏=スペイン)

アメリカという国の奥深さに感銘を受けますね。正反対の国家、そして危機を乗り越えた国のアメリカ批判を正面から受け止めるとは、すごいことです。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あまり政治的なことは書きたくないのですが、この映画がアメリカ資本で作られたことの勇気に恐ろしく感銘を受けますね。アメリカという国はこういうところで懐の深さを感じさせます。

だって、きっと当時のことを知っている人、そして当事者の方がこの映画を見たらかなり気分が悪いだろうと思いますよ。

確かに冷戦構造は崩壊したかもしれませんが、今もってコミュニストに対するアメリカ人の考え方ってのは変化していないはずですからね。それはそれはすごいことですね。

でもむしろ、主人公のチェ・ゲバラの人格を美化した点でこの映画は映画としてギリギリ成立していると思いました。

ドラマとしての主人公の魅力は、

1、革命家でありながら信義を重んじる点

これはラストシーンで強く印象づけられますが、たとえ敵側のものであっても略奪や強姦などは許されないという思想。そして内部からこのような掟破りな者が現れた場合は容赦なく処刑するという非情さ、このあたりの表現が実にうまいですね。

2、革命家は銃を持つだけでなく勉強もしなければならない。

これも映画の各所にちりばめられています。とても知的な表現だと思いました。とかく革命となると暴動を陽動するような印象ですが、学問が行き届かない僻地の農家においても革命の必要性を丁寧に説明するくだりは見事だなと思いました。

要するに、主義主張は異なっても、リーダーの意識は常に平坦であるということでしょうね。感情に左右されたり、判断にブレがあったりしては、カストロを中心とするキューバ革命は起こらなかったし、そういう判断を若きチェ・ゲバラ(28歳〜30歳)が実際に行ってきというすご際を認識できる一作だったということですね。

相変わらずソダーバーグのカメラは縦横無尽に動き回ります。『トラフィック』の頃から見出した「のぞき見感覚」が存分に生かされていました。すごい映像です。

しかも草原を進むシーンや市街戦のシーンなど、いずれも臨場感たっぷりで、なかなか見ごたえのある映像だったと思います。

2010/04/02 自宅

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。