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[コメント] 恋の罪(2011/日)

日活ロマンポルノの大いなる遺産。(2011/11/24)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画の冒頭に「日活」の文字を見て、「ははーーーん」と思いながらファーストシーンを拝みますと、なんとあの水野美紀さんがいきなり濡れ場で登場するわけです。

すごいなー、清純派女優をいきなり脱がせてこのシーンとは・・・凄い!

しかし、実はこの水野美紀さんの刑事役はむしろこの物語の主人公ではありません。

語り部としての役回りというわけでもなく、単なる主婦としての存在を示すのみ。そんな女性がたまたま殺人事件の捜査に携わったという展開で、この刑事役を映画の端役です。

この映画の主人公は明らかに神楽坂恵さん演ずる、小説家の健気な妻ですね。

夫の小説家が異常にナイーブで神経質であることに耐える孤独な女性。

そんな彼女が、働きに出ることをきっかけにどんどん性の世界に開花してゆく。

冷静になってみれば単純なストーリーですね。

愛のむきだし』もそうですし、前作『冷たい熱帯魚』も、あるストイックな人物がどんどん開放されてゆく瞬間を見事に描いていますね。陶酔しきった人間は小さなきっかけで変身するもんなんです。

衝撃的だったのは、夫がラブホテルで乱れているところに、妻がホテトル嬢となって部屋に入る。そして普段全く接することのない夫とセックスをするシーンがありますね。これは衝撃的であり感動的でもあります。本人も夫も泣き叫びますが、その叫びは狂気であり感動でもあります。

そしてこの妻を性の世界の導く役が学校の先生(女性)なんですね。

この女性は恵まれた環境で育ちながら母親との確執を続け、自分自ら狂気の世界に埋没してゆきます。

ボクは女性の心境はわかいりませんが、ここで交錯する三人の女性像は、女性のどこかに秘められた感情であり真実であるように思えてならないんですね。

これをネガティブにとらえるとやり切れませんが、性というツールを言語に至らしめると辛いので、感覚としてとらえることが望ましいのではないでしょうかね。

もちろん殺意とかに至るようでは本末転倒ですけどね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)わっこ[*] tkcrows[*]

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