要するにそういうことなんです。

この映画の文脈を整理して丁寧に見れば、デヴィッド・リンチの系譜としては『ツイン・ピークス』的な世界がいっぱいですね。

私がこの作品に至るまでの彼の作品を順に並べますと、

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『マルホランド・ドライブ』

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『ストレイト・ストーリー』

↓

『サベイランス』（製作のみ）

で、この作品となります。

時系列で並べると『ストレイト・ストーリー』の前、『ツイン・ピークス』の後にこの映画が作られた。

しかも主題歌をデヴィッド・ボウイが歌っている。

ということは、この映画を境界点として、多重人格的な彼の作品世界は一旦終了して『ストレイト・ストーリー』をはさんで再度『マルホランド・ドライブ』に至る、という不思議なポジションにある映画ですね。

この多重人格的な世界が映画の中では心霊的ともいえる表現で見る側を押しつぶそうとしますが、いずれも無意識の中の意識で罪悪感のない多重人格。

そんな現代社会における病巣をぐいぐいとえぐっている点で、『ツイン・ピークス』をより高尚な場所を押し上げるテーマとして描かれているような気がします。

でも個人的には『マルホランド・ドライブ』の方がこの作品より上に位置すると思います。

観た順番が違っていれば最高得点だったでしょうね。

でも見ごたえある映画ですよ。

2011/01/01　自宅