[コメント] 勝手にしやがれ(1959/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この映画を評価しようとするときに、1959年という年を考えないといけないと思います。私が生まれる3年前ですね。
フランスではドゴールが大統領に選出された年です。ドゴール主義とは、ある意味利己的な世界であり、自国中心主義。この思想は今もフランスに息づいている面があるように思います。
映画では、アメリカで『ベン・ハー』が作られた年ですし、ジョン・フォードがまだ映画を撮っている時代ですし、日本では小津安二郎監督が作品を発表した年でもあります。
従って、古典派がまだまだ映画界に君臨していて、テレビの時代に移行する直前でもありまして、この時代の変化に当たる年ということでしょうか。
日本では大島渚監督がデビューした年。『愛と希望の街』を発表しています。
ヌーヴェルバーグ元年ということなのでしょうが、今となってはやや退屈に写ります。アヴァンギャルドな発想がこの時代の映画界に衝撃を与えたことは理解できますが、残念ながら今となっては(要するにテレビ世代を迎えた今となっては)陳腐に写ります。
映画のイロハとは何か?
この映画が卑屈にカメラを縦横無尽に動かしているところを見ると、それまで築いてきた映画界の重鎮からすると、その様式美などを一切度外視したという点で評価できるのかもしれません。
主人公(ジャン・ポール・ベルモント)のラストなどは、もっと別の表現ができたのかもしれませんが、見る側を全く無視した作りは心地よいものではありません。
きっと映画っていうのは、もっともっと新しい科学により進化するものだと思いますが、表現手法だけで歴史の残る映画としては、この映画が貴重な財産であることに相違ないと思います。
2009/12/31(自宅)
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