[コメント] ストレイト・ストーリー(1999/米=仏=英)
デヴィッド・リンチはなぜこのような変化を遂げたのか?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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素晴らしい作品だ。
原作も読んだが、原作のテイストを損なうことなく、映像でも優しくて頑固なアルヴィン・ストレイトが描かれていて、とても幸せな気持ちになりました。
兄に会いにゆく年老いた男の物語。
これだけで、この映画は十分完成しています。
そしてあり得ない世界。
年老いた老人がトラクターで長い長い道のりを行くお話。
そしてそこで出会ういろいろな人との物語。
この「ありえない」という部分だけがデヴィッド・リンチと言えるかもしれない。
もともと彼の作品は現実世界を斜めに見るような感覚が随所に含まれている。
彼の名を世界に知らしめた『エレファント・マン』にせよ『イレイザー・ヘッド』にせよ、しばし一般人が目をそむけたくなるような「ありえない」お話。これが彼の世界であるわけですね。
ただ、この『ストレイト・ストーリー』に関しては、彼のディスコグラフィーの中の「ありえない」部分はそのままに、「目をそむけたくなる」部分の全くない映画ですね。
時に残酷に、そして時にファンタジックに映像の中の世界を斜めに切るような作品を積み重ねてきたデヴィッド・リンチにとって、この作品は「ありえない」ほど優しい映画でした。
長い長い道のりを超えて兄のもとにたどりついたラストでは思わず涙してしまいましたね。
デヴィッド・リンチは、本当は優しい人なのではないでしょうか?
2010/10/15 自宅
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