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[コメント] 沈黙(1963/スウェーデン)

ラストでベルイマンカフカに接近したと思えた。今この些末な感覚はデヴィッド・リンチにも継承されようとしているのかもしれない。
chokobo

小人の登場でそう思った。これはカフカだ。日本で言えば安部公房である。この転落こそが芸術であり、何物にも代え難い宝と言える財産なのだ。

ベルイマンの表現手法は露骨だ。この女同士、姉妹の軋轢、全く異なる性格の家族が対決する姿。この不愉快な感覚は見るものに幾ばくかの覚えがなければ感ずることのできない不思議である。

しかもこのエロス。この衝撃には手を触れられないような緊張感とエクスタシーを覚える。男性でありながら女性を体現できるのだ。このあるまじき行為、それを覗く者、そしてそれを暴露しる姉。この対決姿勢が人間の内面に隠された本能なのかもしれない。

これはベルイマンの「神の三部作」と呼ばれるうちの1作品であるが、誰が見ても神への冒涜に思えるが、実は誰もが持つこの感覚と行為を必ずしも否定はしないのだ。ベルイマンは別に特別のことを述べているわけではない。真実に近づこうとしているだけなのだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)いくけん

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