[コメント] 大いなる幻影(1937/仏)
昨今の戦争映画で臨場感たっぷりにドキドキしている世代としては、この設定や環境に今ひとつのめりこめない面があります。
ジャン・ルノワールとしては初期作品の中で最も充実した作品ですが、その後の彼の作品、例えば『ゲームの規則』などと比べると上品すぎる作品とも言えます。
この上品さはやはりシュトロハイムでしょうね。シュトロハイムが画面に登場するだけで映画の品位が上がります。ルノワールがシュトロハイムを使うなんて、とても信じられることではありません。
主役のジャン・ギャバンも見事ですね。
しかし戦争中の人間ドラマとしてはやや現実的ではありますがルノワールの持ち味であるヒューマンドラマの特性は見事に出ていて素晴らしい作品に仕上がっています。歴史に残る作品は、プロットや映像もさることながら、出演している役者の見事な演技にも象徴されることがあるんですね。
フランス映画としてアカデミー賞作品賞にもノミネートされましたが惜しくも受賞を逃しました。
ジャン・ルノワールは自分自身が第一次世界大戦中に負傷したことがきっかけで映画の道を選んだ人なので、ある意味自伝的な映画でもあるわけですね。もちろんこの後に数々の名作を作るわけです。
この映画にも出てくる『ラ・マルセイエーズ』を歌うところは、この映画の感動的なワンシーンですが、ルノワールは翌年この曲を題材に1本映画を作っているんですね。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。