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[コメント] バーバー(2001/米)

邦題に問題あり。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







確かに床屋のお話ですが、床屋さんを主人公にした自分探しの映画ですので、このタイトルはいただけませんね。もう少し工夫があって良かったのではないでしょうか?「自分は誰?」とか「他人から見た自分」とか・・・でもあんまりパッとしないかな。

まず映像表現のすばらしさ。カットの見事さ。映像詩人の言われる兄弟の実力が見事に発揮されていたと思います。

それぞれは小さなシーンですが、最初の方に妻が風呂場で「足の毛を剃って」と依頼するシーンの見事さ。男の影と奥に移る風呂場にいる妻との距離、そして剃刀が彼女の足元をすーーっとなぞるなまめかしいシーンは見事ですね。

コーエン兄弟の映像美は、そのミクロの表現に惹きつけられるものがあります。

この映画の舞台となる理髪店の中にしても、そのセットの美しいこと。そして光の加減で人物の心情が微妙に変化する巧妙さ。いずれも一級の芸術を見せていただいた気分です。

物語としても面白いですね。妻が浮気している会社社長を脅迫して1万ドルを手に入れ、その金でドライクリーニングの店を開業しようとたくらみます。ところがその社長にばれて勢いで殺してしまう。しかしその犯人は妻に濡れ衣を着せられて、自分は生き残る。ところが別の殺人の容疑で最後は電気椅子に座らされる。

こういう珍妙な展開もコーエン兄弟ならではですね。

奇異に移りながら現実にありそうなお話です。実態をよくとらえていますよね。

いずれにしても、コーエン兄弟の作品を芸術として鑑賞するのは大変気持ちの良いことで、この映画のいたるところにその芸術性が生かされていて良かったですね。

車が飛ぶシーンはすばらしい。運転中のシーンはヒッチコックを思わせました。

2010/03/06 自宅

(評価:★5)

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