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[コメント] 春の雪(2005/日)

今日日の状況下で、恋愛映画の秀作を作ることの難しさを改めて確認させられた一本。
ゆーこ and One thing

 合格なのは映像とロケハン。思わずエンドロールで撮影場所を探してしまいました。

 役者陣も脇役がとても素晴らしかったです。特に鵺のような怪しい雰囲気を漂わせた大楠道代岸田今日子の後を継ぐのはこの人しかいない!?)と、知性と気品溢れる立ち振る舞いを見せる若尾文子

 しかし、肝心の主人公2人を応援してあげようという気にはなれず。ちょっと冷めた目でスクリーンを見ていました。

 お互いに「愛してる!」の応酬を激しく繰り広げていた清顕(妻夫木聡)と聡子(竹内結子)が、強大な力で無理やり引き離されるなら「どうか愛し合っている2人を添い遂げさせてあげて……」となりますが、清顕がうだうだといじけているせいで2人が結ばれなくなるのをたっぷりと見せられて、どうやって2人の熱狂的応援団になればいいのか。もうちょっと観客を映画の中に引きずり込む手段を周到に用意していただきたかったです。

 でも、恋人同士を無理やり引き裂く障害がどんどん消滅していく今日日の状況下では、観客を「どうか2人を引き裂かないで…」と感情移入させる恋愛映画を製作することはものすごく難しいと思います。

 愛し合っている恋人同士を無理やり引き裂くセオリーとしては、身分(『隠し剣 鬼の爪』)、家同士が喧嘩している(『ロミオとジュリエット』)、戦争(『また逢う日まで』、『ひまわり』)、病気(『世界の中心で、愛をさけぶ』)、最近新しく出てきたパターンでは違う人種同士の恋愛(『招かれざる客』、『パッチギ』)などが考えられます。

 最初の3つなんて完全に遠い過去の話で、今の日本人が思いを馳せることはできませんもの。「皇族と婚約した女性と契ったら身の破滅」というのは頭では理解できますけど、感情レベルで理解することは出来ません。

(評価:★3)

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