コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] レッド・ドラゴン(2002/米)

思わず、涙がこぼれました・・・左の目からひとつぶ涙が・・・まさに真珠みたいに・・・え?あんたの歳じゃ、もう目尻のシワににじんでカラリ床みたいになるはずだって?失礼な!純粋に切なくなってしまったのよ・・・
Shrewd Fellow

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とにかく、脚本がすんばらしくよかったと思います。原作とは、ごく近い平行線をたどっているような感じですけど。1本の映画として、原作とは切り離してもぜんぜん大丈夫。原作のすごさにおもねることも、頼りすぎることも、忠実になりすぎることもなく、レクター博士のキャラに頼りすぎこともなく、ちょうどよくフイクションで、ちょうどよく忠実で、それでいてちゃんとRed Dragonの物語になっているってところがすごい!

私の平たい胸にザシッと突き刺さったのは、グレアムがフランシスに罵りの言葉をあびせるシーンでした。そのときの私は、グレアムの立場になかったなあ。同じ歳くらいの子供を持つ親の視点じゃなかった・・・完全にフランシスの方だったなあ・・・あのシーンで胸がしめつけられてしまって・・・原作を読んだときから他人とは思えないキャラのフランシス。リーバと出会い、自分が引き裂かれる苦しみの中で、今までしがみついてきたものから手を離そうともがくフランシス。でも、リーバにもしがみついてしまった・・・う〜〜せつねぇー!

フランシスの人生の半分しか、この映画では語られていないのに、これほど切なくなるのは、やはり脚本のすばらしさだと思います。フランシスと祖母の関係に限定しても成功しているのはすごいことです。というのも、それだけではフランシスが全部の鏡を割りあるいたり、被害者が変身するために目に鏡を入れ込んだり、盲目の女性だからこそ心を開くことができたということに説明がつきにくいかな、と思ったからなのです。でも鑑賞中はぜんぜん気になりませんでした。フランシスをあらわすのに大事なポイントはおさえてあったからでしょうね。特にあのjournal。最後グレアムにそのjournalについて語らせているのがなんともとってつけたようで気に入らないけど、原作ではまったく二人は交わらないで終わっているので、これもまたヨシかな、と思いました。フランシスの人生が半分になってしまった分、グレアムとレクター博士の物語がうまく描かれているのもよかったと思います。グレアム&レクター博士、フランシスと二つの物語を並行させて、ひとつの映画としてまとめているのはすばらしいと思いました。

ただー・・・フランシス役はミスキャストではないでしょうか。キュートすぎるし、ナイーブな雰囲気すぎるような気がする。それに、クロフォード。あのクロフォードはアルカ・セルツァを飲みそうもない。見直したのはエドワード・ノートン。グレアムのイメージとは遠いんじゃな〜〜い?と思っていただけに、おもいのほかうまくて、この後何をみてもグレアムと呼んでしまいそう。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ペパーミント[*] ナッシュ13[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。