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[コメント] 女だけの都(1935/仏)

癒し系。
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本当にどこかの絵画から抜け出してきたような上質で魅惑的な登場人物たちの他愛のない話や若者の爽やかな恋愛をフランス語の心地よい発音に被せつつ、お偉方の今でもあまり変わらない臆病でその場しのぎの行動に笑わされ、古い映画のその古さが今観ると逆に新鮮で魅力に転じる一方で、映画としての完成度も高い。全編を貫く軽さや登場人物誰一人悪人がいないところも夢を感じるところだ。

根底にはおそらく、偏見の持つ怖さや人は分かり合えるという楽観主義とシェイクスピア喜劇の影響下にあると思われる。

癒し系と書くと誤解されかねないが、現実社会にファンタジーを持ち込んで成立しているところと、クラシック音楽、特に喜怒哀楽のはっきりしているバロック音楽の喜と楽を聴いているようでとても心地よい(そういえば自分にとってはヒッチコックも今や、癒し系だなあ)。積極的に見る人はいなそうだが、見て決して損はしない。

ラストなどは、いかにも紙芝居的だけど、好きだな。「こうして町に平和が戻りました。男たちも、元の威厳を取り戻しました」そういった意味では、見栄っ張りの癖に臆病者の男たちをからかう精神はあっても、女たちがそれに取って代わろうとはしていない。あくまで分をわきまえて、男を立てるところはちゃんと立てている女性たち。だから意外と、男性に優しい映画と見た。

(評価:★4)

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