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[コメント] 遊びの時間は終らない(1991/日)

トラヴィスに憧れた男(?)の午後。
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本人は意識してはいないのだろうけれど、僕にはこの主人公がタクシードライバーのトラビスにダブって見えてしまった。頑固さ、融通の利かなさ、こだわり、かっこよさ。

でも観ていてやっぱり違うなあと思ったのは、トラビスが、時代や体制といったものに、積極的にしろ消極的にしろ反抗し、不満をエネルギーに変えているのに対して、彼の中にはそんな気持ちはこれっぽっちもない。

あくまで仕事の一環として、正しいと信じて行動している。その結果として、世の中に多数存在する暗黙の了解を簡単に破ってしまい、混乱を招く。結局、組織としては、不真面目なのも困りものだが、生真面目なのはもっと悪い、ということか。もちろんそんなことは建前上、言えないので収拾がつかない状況に陥る。

暗黙であっても、それが存在する限り、人はそれを見につけて生きていくもの。プロ野球選手ならばタレントの投じる始球式の球は空振りしないといけない。

しかし、その世界特有のもので、時に閉鎖性を感じるものもある。主人公のとった行動は、暗黙の了解の通じる世界からすると受け入れられないものであろうが、そういうものほど、一般人にとっては不可解に感じることが多い。それを無意識に糾弾する男。爽快である。相撲の土俵に女性が立つことが許されないのはやはり不可解だ。

そこに着目したアイディアの勝利といっていいだろう。

その後…同僚の警官と銀行員は日本に戻ったが、真面目警官だけは一人残った。 そこで、過去に銀行強盗を犯した男として一生を送ったとさ。もちろん仕事の一環として。おしまい。

(評価:★3)

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