[コメント] 油断大敵(2003/日)
「森のクマさん」御囃子バージョン気に入りました。
売春というのは有史以前から存在す職業だと、どこかで見聞きしたことがあります。泥棒もまた最古の職業(?)なのかも知れないですね。だって、サル山のサルたちは生きるために他のサルのエサを奪いますものね。
やりたい職業が見つからないだの、仕事にやりがいが見出せないだの、個性が活かせる職種につきたいだの、仕事は自分のためにするものだと勘違いしている若造がたまにいます。そういう奴に「仕事は自分のためではなく客のためにするものだ」と余計な説教をして、いつも私は煙たがられております。
関川(役所広司)だって市民という客の財産を守るために必死で職務を遂行しているわけですが、ところがプロの泥棒家とでも言える猫田(柄本明)は自分の生活のために仕事をしているのですね。泥棒を職業と言ってよいのなら、泥棒は自分の個性が活かせて、他人ではなく自分のためだけにできる唯一の仕事なのですね。
いや〜、今まで気づきませんでした。今度、グズグズとごたくを並べる奴がいたら、「お前は泥棒になれ!」と言ってやろうと思います。ほとんど説得力ないですが・・・。とくだらないことを考えてしまったわけですが、でもこの映画には、「別に泥棒でもいいじゃないか」という変な説得力があります。実はこれがこの映画のミソのような気がします。
ヤモメ男と娘の成長という極めて日常的なテーマと対を成して語られる、刑事と泥棒の友情と連帯というファンタジー。地方都市という極めて身近な舞台で、決して派手ではない役者たちが、堅実に淡々と非現実を演じるからこそ、こんな日常から数センチだけ浮遊したような心地よいお伽話しが成立しているのでしょうね。
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