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[コメント] ニッポン無責任野郎(1962/日)

爆笑がいつしか薄ら笑いへと変わる。硬直したシステムや価値に対する強烈なアンチテーゼ喜劇。前作では唯のお調子者でしかなかった無責任男だが、本作の破天荒な行動と有無を言わさぬ強引さは時に薄気味悪さを漂わせ、彼が得体の知れない秩序破壊者にすら見える。
ぽんしゅう

源等(植木等)は陽気なテロリストだ、と言ってしまうのは言い過ぎだろうか。

前作『ニッポン無責任時代』で植木が演じた主人公名の平等(たいらひとし)が文字通り「人はみな平等」あるいは「平均点で充分」の意味であるのなら、本作の源等(みなもとひとし)が、人に原点回帰をせまる強引な解放者だと定義してみてもよいのではないだろうか。

「豊かさが幸福の尺度である」という一点の価値観に向かって、有無を言わさぬ勢いで新しい社会システムが構築された高度経済成長時代とは、逆に言えばそれだけシステムへの隷属という息苦しさを人々に強いた時代だったということだと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)荒馬大介[*] ボイス母

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