コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ハリー・ポッターと謎のプリンス(2009/英=米)

なんだろう、この物足りなさ。前作のあまりの出来の良さにデヴィッド・イェーツを大絶賛したにもかかわらず、今作のなんだか微妙な仕上がりに肩透かしを食らった感じです。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭のマグルの世界でのパニックシーンだとかアラゴグの埋葬シーンだとか、あとケイティが呪いにかかったシーンとかもそうですね。直接的にストーリーの核心に絡んでこないようなシーンが結構あるんですけど、映画的なスケールや視覚に訴えかける効果、何より空想の具現化としてあれらのシーンを挿入したのは印象が良いです。(原作ファンにとってはどうでもいいシーンに時間を割かれた苛立ちしかありませんけど)

視覚効果と言えば、相変わらずホグワーツの城内は素晴らしく、特に大広間はシリーズ1作目からずっと、何にも替え難い安堵感と包容力を持っています。だからこそデスイーターたちに襲撃され、灰色の廃墟のようになるシーンの持つ破壊力は計り知ません。そう言った素晴らしいシーンもふんだんに用意されてはいるんですが、逆にどうしようもなくくそったれな部分も同じくらい用意されていて参ってしまいます。

もうここまで来たら端折り方の不満を言う事すらナンセンスに思えてくる程なんですが、やっぱり下手。原作と映画とでは作品の芯とする場所が違っているとしか思えない(映画でのシリウスの蚊帳の外っぷりは腹立たしさを通り越して脱力してしまうほどだし)。確かに今作での3人の微妙な関係や恋愛模様、ウォンウォンwのキャラの良さなど、面白い部分は多かったです。でも今作はサブタイトルにもあるように、謎のプリンスについてがテーマでしょ。プリンスの正体が分かったからと言って、だからどうしたとしか思えない演出です、これは。またスラグホーンも過去の先生たちに比べると格段にインパクトが弱い。そうして最大の山場であるクライマックスも、及第点をあげたい出来なんですが、読み終わってからも1日泣き暮らした程のあの原作の悲壮感には遠く及ばず。でももうこれはシリーズ1作1作の軽さ、そして重ね方に端を発しているので、今作だけを責めるのもおかしな話ではあるんですけどね。今まで紡がれ続けてきたストーリーを束にしたって、ダンブルドアの重みはこの程度だろうと思うし。(小説では違うんですよ!全然重みが違うんですよ!!!)こんな事言っても意味ないけど、でもせめてやっぱり最後までダンブルドアはリチャード・ハリスで観たかった。

他のキャストでは前作に引き続きヘレナ・ボナム・カーターが素晴らしく良いです。デスイーターの中に『スウィーニー・トッド』出演者がゴロゴロいるってのもなんか面白い。あとは問答無用でハーマイオニーが美しすぎてどうしようかと思うほどです。シリーズが完結したら是非エマ・ワトソンには中世ヨーロッパの歴史モノにでも出演してほしいところ。

*

実は原作の最終巻、まだ読んでいなかったりするんですが(もったいなくて読めん)、だからこそ伏線などを気にする事なく純粋な気持ちで今作を楽しめたっていうのはあります。改めてこういう楽しみ方もありだなーと思ったので、原作未読の方にも是非見てもらいたいです。シリーズを重ねる毎に採点人数が減っていくのが悲しい…

さて。いよいよ残り最終章のみとなりました。足掛け10年の超大作シリーズ、見事な締めくくりを見せてほしいと思います。はぁ〜、楽しみなような、切ないような・・・

ちなみに今、今作『謎のプリンス』を原作で読み直しているんですが、ダンブルドアとハリーの重要な対話が一切描かれていなかった事がやっぱり不満。続いて『死の秘宝』を読みますが、映画版最終章を観る前に『賢者の石』から通して最後までもう一回全部読んでやろうと思ってます。フガフガ!

----------

09.07.17記(09.07.15劇場鑑賞)

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)ゆーこ and One thing[*] 煽尼采 牛乳瓶

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。