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[コメント] 元禄忠臣蔵・前編(1941/日)

出た、溝口の偏執狂!
づん

とにかく音声の聞き取りにくさったらなかった。多少聞き取りやすい部分はあるものの、もう台詞はないものとして諦めた方が良さそう。

それよりも、溝口作品はそれなりに観てきたよね?私…。ってちょっと落ち込んでしまうくらい愕然とされられたのが、カメラワーク。いや、この偏執的な長回しにはある程度慣れたハズ。慣れていたハズなのに、まだここで驚かされるのか私!っていうくらい、病的なカメラワーク。これなに?映画?って素で思っちゃうほどに、舞台的な見せ方とライブ感。そう、ライブ感!「ハイ、カット!次のシーン行きまーす」っていう風景が全く想像出来ない。本当に通しで芝居をしているような臨場感。これは本当にスゴイ。

大体台詞を喋ってる役者がフレームに納まっていなかったりするんだもの。台詞を追ってカメラが動くとか、前代未聞!!(そんな事ない?)それが部屋を行き来までして長回しで続くもんだから、まるで自分もそこにいるかのような錯覚に陥ります。

もうとにかくこのカメラワークを見ているだけでも充分すぎるくらいの作品です。カメラ単体だったら間違いなく☆5です!溝口作品のカメラワークの中で『残菊物語』と一、二を争う秀逸さです!本当に映画って総合芸術だなーって改めて感心させられました。これで台詞がバッチリ聞き取れていたら、間違いなく珠玉の名作になっていたと思います。これだけ褒めまくっておいて☆3てヒドイ?でも一つの作品として見ると、こんなもん。映画って難しいー。

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09.09.24記(09.09.18DVD鑑賞)

(評価:★3)

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