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[コメント] ろくでなし(1960/日)

吉田喜重、戦慄のデビュー。比類なきセンセーション。素晴らしい。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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何系と言うのかは全く分からないんですが、私が観た数少ない作品を例に挙げると『狂った果実』とか『すべてが狂ってる』とかと同じ匂いを感じたのですが、これが和製ヌーヴェル・ヴァーグというヤツなんですね。ふむふむ。

そもそもヌーヴェル・ヴァーグというもの自体、私はいまいちピンと来ないんですが(それとも今改めて見たらピンと来るかな?)、この作品に限って言えば、今まで映画を観て抱いた事のない、言い様のないクールさを感じました。あの顔に陰影を付けるライティングとか素晴らしすぎて神懸っているとすら思えたけど、でもまぁそれに関して言えば、他の映画でだって観られる範疇なんですよね。それよりもこの作品はラスト。とにかくラストショット。

何コレ!っていうすごい衝撃を受けました、私は。映画を評価する時に、最近は感覚的とか表層的な事を手放しで褒める事が幼稚であるように思えて、そういう部分をあまり評価しないようにしていたんですが、この「雰囲気」はもう評価せざるを得ない。この「雰囲気」は褒め称えてしかるべきものだ。雰囲気が良くて何が悪い!と思わず居直ってしまいそうなほど、雰囲気がいい!

画面を静止させるあのタイミング!ジュンの崩れ様や郁子の表情、全てずば抜けたセンスで切り取られたあの瞬間。一瞬にして背景がフランスの路地裏とも化すあのセンス。この感覚的センスは凄まじいものがあると私は思いました。吉田喜重、戦慄のデビュー。比類なきセンセーション。素晴らしい。

あとね、個人的には高千穂ひづるのくたびれた年増OLっぷりが異様にツボでした。

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09.04.02記(09.04.01DVD鑑賞)

(評価:★5)

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